ただ、それだけでよかったんです

ある中学校で一人の男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です』という遺書を残して―。自殺の背景には、菅原拓によるKたち四人への壮絶なイジメがあったという。だが、菅原拓スクールカースト最下位の地味な生徒で、Kは人気者の天才少年。また、イジメの目撃者が誰一人いないことなど、多くの謎が残された。なぜ、Kは自殺しなければならなかったのか。「革命は進む。どうか嘲笑して見てほしい。情けなくてちっぽけな僕の革命の物語を―」悪魔と呼ばれた少年・菅原拓が語り始めるとき、誰も予想できなかった、驚愕の真実が浮かび上がる。第22回電撃小説大賞受賞

 

評価:87

 

大賞作品。

イジメを巡る事件、その真相に迫る物語。新人賞としてはかなり完成されていた様に感じた。

段々と何が起きていたのか明かされていき、最後に真相が明らかになった時の衝撃はなかなかだった。

人間力テストとは恐ろしい。しかし人間力テストというファクターがあるとは言え人間関係はこんなにも面倒なのかと思わされるな。

この主人公の手腕どう考えても頭の悪い中学生のそれじゃないが、その見事さは素晴らしい。

2人の主観の交代で物語が進んでいくからついついミスリードされちゃうのは上手い。

決してハッピーエンドではなく、バッドエンドなんだろうが、でもどこか救われたような気持ちになる作品でした。

こんなこと言うのはあれだが、この主人公かなりやらかしてるがこれからどうするのだろう……。